【疑問】なぜ微分方程式を解くときに一般解は特殊解の定数倍の足し算になるのか

皆さんこんな経験はないでしょうか。大学1年生になって急に物理で2階の微分方程式を解かないといけなくなったけど、微積の授業はそこまで進んでいないし、解き方を聞いてもなんでそうやるかわからない、という経験。私はそんなことがありました。そしてまだ深い理解をしたわけではないのですが、「とにかく試験を乗り越えるために解き方は覚えるけどなんとなくの理由が知りたい」と考えている大学1年生の方向けに私の適当な解釈を述べておこうと思います。

今回の内容:任意定数の個数や1次独立と線形結合について話します。

そもそも「微分方程式を解く」ってなに?

微分方程式とは、変数として「x」,「y(xの関数)」,「yの導関数」が含まれるような方程式のことです。一般に、n階の導関数が入っている方程式\(F(x, y, y’, y”, …, y^{(n)}) = 0\)をn階微分方程式といいます。そして、微分方程式を解くということは、この方程式を満たすy(xの関数)を求めることを指します。

例えば次の場合を見てみましょう。

例題:3階微分方程式 \(y^{(3)} = 6x\) を解け

解)3階微分が\(6x\)になるような\(y\)を求めます。
  不定積分をしていくと、
  \(y” = 3x^2 + C_{1}\)
  \(y’ = x^3 + C_{1}x + C_{2}\)
  \(y = \frac{1}{4}x^4 + C_{1}x^2 + C_{2}x + C_{3}\)(\(\frac{1}{2}C_{1}\)は\(C_{1}\)に置き換えた)

これでyが求められたので解けました。
ここで、任意定数の個数に注目してみてください。
3階微分方程式の一般解は3個の任意定数を含むことがわかりますね。
ちなみに、このような任意定数を含む解のことを一般解といいます。
これに対し、任意定数を含まない(つまり任意定数のところにとある数を代入した形の)解を特殊解(または特解)といいます。例えば、\(y = \frac{1}{4}x^4 + 2x^2 + 3x + 4\)も特殊解の1つです。

POINT
一般に、\(n\)階微分方程式の一般解は\(n\)個の任意定数を含む。

この性質は、n階の微分や積分があることを考えれば当然ですね。

足し算の正体は線形結合!

皆さんが気になっているのは定数係数2階線形同次(または斉次)微分方程式についてだと思うので、次の定理と証明を載せておきます。

定理

\(y” + py’ +qy = 0\) の2つの1次独立な解を \(u_{1}(x), u_{2}(x)\)とすると、一般解は
\[y = C_{1} u_{1}(x) + C_{2} u_{2}(x)\] である。ただし、\(p,q\)は定数、\(C_{1},C_{2}\)は任意定数。

証明
\(u_{1}(x), u_{2}(x)\)は\(y” + py’ +qy = 0\)の解であるから、 \[\begin{cases} u_{1}” + pu_{1}’ + qu_{1} = 0\\u_{2}” + pu_{2}’ + qu_{2} = 0 \end{cases}\] この2式にそれぞれ任意定数\(C_{1},C_{2}\)をかけてから足して、微分の線形性を考えると

\[(C_{1}u_{1} + C_{2}u_{2})” + p(C_{1}u_{1} + C_{2}u_{2})’ + q(C_{1}u_{1} + C_{2}u_{2}) = 0\]
となる。これより、 \[y = C_{1}u_{1}(x) + C_{2}u_{2}(x)\] も解である。ここで、\(u_{1}(x), u_{2}(x)\)は2つの1次独立な解なので、この解の任意定数を減らすことはできない。つまり、これが2つの任意定数をもつ一般解となる。

この定理で定数係数2階線形微分方程式の一般解の形が1次独立な解の線形結合になることがわかります。
ここでは線形代数で習う定義は省略しますが、 これはベクトルの線形結合(1次結合)のイメージと一致しますよね。
実際にいろんなグラフが見てみたい方は、こちらのサイトをおすすめします。

参考 Desmos | Graphing CalculatorDesmos

入力例)y = asinx + bcosx
変数\(a, b\)を動かしたりして遊べます。

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